移民弁護士と移民コンサルタントに共通する点として、どちらも移民、難民、市民権法に関してサービスを提供しています。
しかし、弁護士と移民コンサルタントでは提供できるアドバイスやサービスに違いがあります。また移民コンサルタントの中でも、取得しているライセンスにより提供できるアドバイスが異なります。
以下の図でもわかるように、移民法弁護士と移民コンサルタント、また移民コンサルタントの中でもライセンスの違いが示されています。
目次
カナダ移民コンサルタントのラインセンスの違い
RCICが保有するライセンスは、移民・市民権コンサルタントカレッジが発行するもので、今後はRCICライセンスまたはRCIC-IRBライセンスのいずれかになります。
2023年7月1日以降、移民コンサルタントは、RCIC-IRBという特別なライセンスを保持していない限り、IRBでクライアントのために弁護することは許可されません。 RCIC-IRBクラス・オブ・ライセンス・ポリシー取得資格
(a) クラスL1 – RCIC – 条件付練習。
(b) クラスL2 – RCIC – 制限付業務 (c)
(c) クラスL3 – RCIC-IRB – 無制限業務。
College of Immigration and Citizenship Consultants, “By-Laws, Regulations and Policies,” (17 November 2021).
現在、私は準修士の移民法を学ぶことで、コンサルタントして最大限の資格が許可されているクラスL3ライセンスの取得を目指しております。この資格を得る事で、移民・難民保護法・市民権法すべての部門における分野で、業務の範囲が許可されることになります。
カナダ移民弁護士とライセンスの違い
大きな違いとしてはL3のラインセンスを得る事で、VISAや永住権の申請が拒否された場合に、クラインとの代理としてIRB(Immigration and Refugee Board of Canada)に判断の再考を訴願することができます。L3クラスのライセンスの取得には、法律、判例を理解して、法的な議論で訴願をする必要があるためになります。また、この資格を得る過程ではUNHCRの難民条約を学ぶため、難民申請、訴願の手続きも可能になります。
The licence issued by the College which allows an immigration consultant to provide the maximum range of services described in section 91 of IRPA and section 21.1 of the Citizenship Act is the L3 (RCIC-IRB) licence – all the other licences issued by the College entail a narrower scope of authority.
- College of Immigration and Citizenship Consultants Act, SC 2019, c 29, s 292, Online.
L3ライセンスで許可されるIRBへの業務範囲
カナダ移民難民局(Immigration and Refugee Board of Canada) は、カナダの中でも最大の独立行政裁判所になります。移民と難民関連の決定を法律に従い公正に、また効率的に行う責任があります。
ID:カナダに入国できない方(inadmissibility)、追放令を受けた方(deporation order)に対する入国許可公聴会での審査。またCBSAによって拘留された外国人または永住権保持者への審査
IAD: 一時的滞在VISA(work permit, visitor visa, working holiday visa etc.), 永住権、市民権の訴願
RPD:難民保護の決定
RAD: 難民申請の訴願
IRBの組織図:
カナダの司法の仕組みと裁判所組織図
カナダの司法制度は、連邦政府、州政府、準州政府が関わっております。
カナダ最高裁判所は、カナダの最終控訴裁判所です。9人の裁判官は、カナダの4つの主要な地域を代表しています。そのうちの3人は、民法制度を適切に代表するために、ケベック州出身者でなければなりません。
州裁判所は、ほとんどの刑事犯罪、金銭問題、家庭問題を裁きます。契約違反やその他の損害賠償請求に関わる私法上の事件では、9つの州と準州の裁判所がコモンローの原則を適用します。ケベック州では、裁判所はケベック民法典を適用しています。
上級裁判所(Superior Court)は、州や準州の最高レベルの裁判所です。最も深刻な刑事事件や民事事件を扱い、州や準州の裁判所の決定を見直す権限を持っています。
上級裁判所は、裁判レベルと上訴レベルの2つのレベルに分かれています。
行政委員会・審判所
さまざまな種類の行政裁判や委員会が、雇用保険や障害者手当の受給資格、難民申請、人権など、法令の解釈や適用に関する紛争を扱っています。
行政裁判は、裁判所よりも格式が低く、裁判制度の一部ではありませんが、紛争を解決するために不可欠な役割を果たしています。
カナダ移民弁護士とコンサルタントの違い
移民コンサルタントと比べて、移民弁護士は更に広い分野での業務を受け入れることができます。主に移民法を実践する弁護士は、クライアントを守るために、移民法・難民法以外の法律に触れる問題でクライアントにアドバイスをすることができます。例としては、刑事裁判、離婚・親権などの家族法、行政法、企業法務、国際法務、不動産法、民事基礎など。つまり、弁護士は移民法を以外の法律を触れる際に、移民法を超えてアドバイス・サポートすることができることが大きな違いになります。
行政委員会・審判所の訴願で通らなかったケースは、上訴にて裁判所の司法審査(Judicial Review)にの申請、申請が通った場合に、クライアントの代わりに法律的に判断の訴えを行えることが大きな違いになります。
背景
このような新しい規制の背景には、既存の移民コンサルタントによる社会問題が相次いでおります。
以前は、移民コンサルタントの資格を取得するのに3か月程度の就学で取得できました。社会問題として、正しいスキルや能力のない移民コンサルタントからの誤ったアドバイスを受けたケース、また違法行為を承知で行う悪質移民コンサルタントなどが背景にあります。カナダ政府が大幅に移民を受け入れる政策を2025年まで打ち出している中、今後新たな問題が出てくる可能性もあります。そのため、政府は移民コンサルタントに対する教育を準修士課程として認定された大学院のみの規制が2021年より始まりました。
bythewestカナダで就活サポート
カナダでの就職サポートコンサルを行う中で、VISAや移民についての相談を頂きます。現在は、現地就職をメインにしたアドバイスを行っております。将来的には幅広くアドバイスをすることを可能にするために移民法の準修士課程取得中です。
カナダで個人に合わせた就職活動の指導・実践サポートを行なっております。詳しくはお問い合わせページより。